生産管理システム「Factory-ONE」
C社様の導入事例
システム導入時の苦労から得た経験
~タイや海外で生産管理システムを導入する時に考えておきたいこととは?~
インタビューにご協力いただいた企業について
今回インタビューにご協力いただいた企業様は、2011年にタイ西部の工業団地で設立された企業です。
電子部品の製造と販売を行うタイ工場は、グループ最大の生産力を持ち、そのほとんどが輸出向けの製品であるため、BOI(タイ投資委員会)のライセンス下で製造を行っています。日本とは異なり、受注生産・受注発注ではなく、見込み生産を行っていることも特徴の1つです。
Factory-ONE導入の目的と現在の状況
タイでは2番目の『Factory-ONE 電脳工場(以下「Factory-ONE」)』導入企業となるC社様。
しかし、導入には当初予定していたよりも時間を要し、2016年3月よりシステムが稼働開始となりました。また、インタビューをさせていただいた2019年11月現在も、当初の計画に比べると限定した機能範囲でのご使用となっています。
今回は本システムを現在はどのようにご活用いただいているのかを伺いました。
ミスが多かった業務を標準化・効率化
Factory-ONEを使うようになって、それまでマニュアルで行っていたためにミスが多かった社内の出荷指示やインボイスの提出などは、自動出力となってミスがなくなりました。
弊社の中で1番活用出来ているのは、インボイス・パッキングリストの自動出力を行うシステムです。セールス情報を確実にシステムに入力し、その情報からインボイスを出すというところが、メインとして使っている部分です。
在庫管理に関する課題
BOI(タイ投資委員会)のライセンス下で業務を行うためには、在庫管理―要するに部材と完成品との間における推移と、それぞれの差というのを非常に厳しく管理されます。
在庫については、工程内で在庫の推移をモニタリングしながら管理する体制が出来ていなかったため、工程ごとに在庫の推移をきっちりと見ていきたいという当初の目的がありました。こちらの方は最終的な課題でもあったので、将来は段階的にでもやっていかなくてはいけないですね。
業務のルール化で、システム活用の見込み
弊社の生産管理体制が、自由度が大きいために、取り決めがなかなか出来ていない背景もあり、パッケージの生産管理システムには合わせづらいという現状があります。業務的に標準化が追いついておらず、落とし込みがまだ出来ていません。
弊社側で業務を取り決めてルール化し、パッケージシステムをカスタマイズするなどすれば、それらの機能が徐々に使えるようになってくるのかな、と考えています。
最近では標準の形で生産計画を立てられるようになってきており、現場でのこの運用をもう少しきちんとした形にしていけば、在庫管理や、工程内での在庫のモニタリングが出来るようになるのではないでしょうか。
Factory-ONEの魅力は、「分かりやすさ」
最初に「電脳工場(Factory-ONE)」を見たときに、インターフェイスの易しさといったビジュアルが分かりやすいと思いました。例えばマスタ入力に関しては入力箇所が細かく分かれており、その入力データが色々なプログラムでつながっているという概念を理解するまでは大変なものの、マスタの入力手順だけをローカルスタッフに教え込むという点では、シンプルで教えやすいです。
導入時の苦労から学ぶ~プロジェクト体制の確立が必要
業務とは別のプロジェクトチームを組む
製造業では特に多いと思いますが、従来通りにビッチリと業務を担当したままシステム導入のプロジェクトを始めれば、当然メンバーへの負荷がかかります。
プロジェクト体制のリソースと時間を組んで、従来業務の負荷を抑えてから行うべきだったというのが反省点です。
導入プロジェクトが上手く進みだしたのは、担当者の従来業務の負荷が減り、業務の落とし込みや分析等の時間ができてからでした。
また、プロジェクトを組む時には、業務そのものが分かっていても、他の製造部門の詳細を知らないメンバーも多いので、基本的にはチームを組んでやらないといけませんでした。チームをしっかりと組むことが出来なかったために、業務の落とし込みが上手く出来なかったと思います。
業務の流れ・製造の工程を把握している人物をリーダーとしてアサインする
特にローカルスタッフによるチームリーダーを立てる場合には、全ての業務の流れや製造の工程を分かっている人物を、従来の業務をフリーにして業務負荷を変えた上で、リーダーにすべきでした。
マネジメントとしてのチェックと、トップダウン
プロジェクトの立ち上げ時には特に負荷がかかりますし、ローカルスタッフからすると新しいものには触れたくないという感情もあるので、マネジメントとしては、定期的にきちんと状況をチェックし、トップダウンで引っ張っていかないといけない場面もありました。
タイ・海外で生産管理システムを導入するためのアドバイス
ローカルスタッフの国民性や気質を考慮する
例えばタイという視点で見ると、自身で考えて答えを導き出すというよりは、ある程度定めたポイントに対して自動的に数値が出るとか、自身が判断しなくても出来るようなものがプログラムの方が良いとは思います。
業務とパッケージのフィッティングをしっかりと行う
システムを導入する前に、 現在の業務をどこまでシステムに合わせていくのか、業務を変えるのか変えないのかという検討をしっかりと行っておかないといけないですね。また、前述のような自動化を本当に行ってしまって良いのかだとか、そういったところまで考えた方が良いのではないでしょうか。
システム導入支援を行うCSIについて
CSIを選んだ理由は、「きちんと出来るだろう」という期待
他国の工場でシステムを入れるプロジェクトが上手くいかなかった経験から、きちんと会話とサポートが出来て、長くお付き合いできるベンダーを求めていました。
最初の提案の段階から、「こういう形なら出来ますよ」とか「そこはちょっと難しいですよね」とか、そういう話を出来ていたところが、CSIならきちんと出来るだろうなと感じたところです。
今まで色々と話を聞いていただいてきた中で、やりたいことに対して具体的な形で提案をもらえるというのが重要です。
また、プロジェクト立ち上げ時の大変だった時でも諦めずにやってくれたので、信頼して任せることが出来たところが良かったと思います。
今後の展望
システム間や会社全体のデータの連携
会社全体として運用し、全体がつながってデータが流れて行って、初めて経営判断につながるツールとなるので、そういう使い方が出来るようにしたいです。
在庫がつながったら生産管理、生産計画へ
元々の課題であった在庫管理をきちんとやって、その次に発注の規定をしっかりと決めた上で、発注を入れ込みたいと考えています。もちろん生産管理までやりたいですし、在庫のモニタリングもしていきたい。当然その過程で計画が細かな在庫のマテリアルの推移なんていうのもあります。
現状使いこなしているとは言えないですが、出来ないとは全然思っていません。
生産計画を弊社で使えるようにするには、弊社である程度取り決めをした上で、いろいろカスタマイズの要望を出させていただきたいと思います。
業務的に合理化させたい思いと、在庫や生産計画、発注などの結果を出すこと、そしてマネジメントの方できちんと活用できるようなデータや数字からアクションを起こしていくことには、まだつなげられていない。
そういったゴールに向けて、一緒に同じ方向を向いて、一緒に成功させたいですね。
CSI担当者より
この度はインタビューへのご協力をいただき、誠にありがとうございました。
プロジェクトの立ち上げ当初から問題を抱え、導入スケジュールが遅延したり、現在も課題を残している部分があったりと、ご迷惑をおかけしている場面も多々ありますが、それでもなお、CSIを評価してくださっているというC社様のご厚情に対して、深謝の念に堪えません。
そうした困難を共に乗り越え、ようやく今、プロジェクトが力強く進み出したところです。
これからも、C社様の掲げるビジョンやゴールに向かって、更なる改善を実現していけるよう、Factory-ONEチーム一丸となってより一層努めてまいります。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。